春の空中散歩楽しむ
春の遅い僕らの村にも、春の草花がいっせいに

生い繁った。僕は土手のタンポポの花の上で

ポカポカとお日さまを相手に、

仲間と日なたぼっこをしていた。

風が吹くと、タンポポの綿毛が舞った。

「この風に乗ろう」

「いいわねえ」


タンポポの綿毛
手ごろなタンポポの、綿毛につかまると身がまえた。

ホワッとした風が吹き、みんな次々と風に乗った。

ツバメが僕らに驚き、急旋回したので、水を張った

ばかりの田んぼに突っこみそうになった。

それを見て、みんなが笑った。

「でも上手な飛び方ねえ」

「あの背中に乗ったら、ジェットコースターよりも

 スリルがあるだろうなあ」と、口々に言った。

火の見やぐらを越え、さらに上昇すると、

トンビの鼻先をかすめた。トンビも目を丸くして

びっくりすると、羽をばたつかせた。

「ヤア、驚かせてごめんごめん。それにしても君たちは

 いつもいい眺めを見ているんだねえ」

トンビは自慢げに、左右に拡げた翼を揺すってみせた。

アルプスの上昇気流に乗ると、僕らはさらに高く舞い上がり、

雲たちと一緒になって春の空中散歩を楽しんだ。




土手のタンポポ綿毛をとばす

山のてっぺん雲わきあがる

山より高い火の見やぐら





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